食卓の色彩が食物の印象にどの程度影響するのかを検討するために, 食卓上に牛乳・パン・卵・サラダを配膳し食卓を黄・オレソジ・赤・紫・青・緑・白・黒の各色彩に変え, 10対の形容語によるSD法によって官能評価を行った.
(1) 食物の背景を構成する食卓の色彩の違いに対する評価は, オレンジが「好き」「おいしそう」「栄養がありそうな」と評価され, 紫は「田舎っぽい」「年よりじみた」「不潔な」「栄養がなさそうな」「下品な」「美しくない」と評価される傾向にある. 色彩間の差については, オレソジ・紫以外の他の色彩間には差が認められなかった. 本研究のように食卓上の食物・食器の色彩が白・緑等単純な場合においてはおいしさに及ぼす影響はあまり大きいものではないと考えられた.
(2) SD法において得られた結果を因子分析したが, いずれの色彩においても累積寄与率が小さく, 傾向がつかめなかった.
(3) 食物の背景を構成する食卓の色彩の違いに対する評価は, 個人の色彩の好みと有意に相関が認められ, 個人の色彩の好みに左右されるところが大きいと考えられた.