抄録
本稿は、韓国南海岸の南海島文巷集落を対象として「体験型観光村」の運営システムについて解明を試みた。南海島文巷集落は2002 年に海洋水産省によって「文巷体験村」に指定されており、潮干狩り等を体験メニューとし、2014 年では年間6 万人の観光客を受け入れており、本稿ではその事業運営の成功要因について、住民出役の仕組みと事業運営の状況を分析した。その結果、「文巷体験村」は集落共同事業に分類され、その運営には既存の地域組織が活用されている。全世帯を対象とする輪番制によって住民の出役が促されており、事業運営による利益が参加住民への人件費とともに全世帯へ配分されるなどして、「文巷体験村」が運営されていることが明らかとなった。