抄録
本研究では巡礼およびツーリズムに関する先行研究を批判的に継承しながら、伝統的に宗教的行為であった聖地巡礼がツーリズム産業によって商品化され、余暇・娯楽商品としてのツーリズムと融合してきた背景について考察したうえで主な経験価値モデルが提示している価値次元の観点から分析を行い、現代の聖地巡礼ツーリズムの特徴を明らかにした。その結果、現代の巡礼者は「審美的価値」および「娯楽的価値」、「脱日常的価値」、「教育的価値」、「社会的価値」、「利他的価値」の意味的価値、ならびに「優れたサービス」および「コストパフォーマンス」の機能的価値を見出している可能性が存在することが確認された。