観光研究
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32 巻, 1 号
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論文
  • ―沖縄県那覇市国際通り周辺商店街における土産物購買の場合―
    上原 明, 直井 岳人, 飯島 祥二, 伊良皆 啓
    2020 年 32 巻 1 号 p. 5-18
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は観光目的地の認知される店舗の評価と観光者の購買行動との関係性に関するモデルを検証することを目的する。調査では沖縄県那覇市国際通り周辺に訪れている観光者を対象に調査票を同封した返信用封筒を配布した(配布:2000 部、回収:445 部、有効回答数:334 部)。その結果、店舗の全体評価である「活気のある沖縄的地元感」と普段の観光旅行で買物を楽しむ特性である「SET」が、土産物購買に関わるポジティブな感情である「PA」を媒介変数とし、土産物購買に関する促された感情である「URGE」と「再購入意向」へ影響を与えている可能性が示され、その中でも、「活気のある沖縄的地元感」の影響が強いことが示された。
  • 南地 伸昭
    2020 年 32 巻 1 号 p. 19-32
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では巡礼およびツーリズムに関する先行研究を批判的に継承しながら、伝統的に宗教的行為であった聖地巡礼がツーリズム産業によって商品化され、余暇・娯楽商品としてのツーリズムと融合してきた背景について考察したうえで主な経験価値モデルが提示している価値次元の観点から分析を行い、現代の聖地巡礼ツーリズムの特徴を明らかにした。その結果、現代の巡礼者は「審美的価値」および「娯楽的価値」、「脱日常的価値」、「教育的価値」、「社会的価値」、「利他的価値」の意味的価値、ならびに「優れたサービス」および「コストパフォーマンス」の機能的価値を見出している可能性が存在することが確認された。
  • 小原 満春
    2020 年 32 巻 1 号 p. 33-46
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル オープンアクセス
    ライフスタイル移住とは自己実現のための移住形態をさし、移住前の観光による訪問が移住意思決定に影響を与えているとしている。この知見に基づき、観光経験からライフスタイル移住の意図が形成されるまでのプロセスについて、定性的調査に基づくモデルが構築されている。本研究の目的は、このモデルを定量的に検証することである。検証方法として、消費者行動における「関与」を適用し、共分散構造分析を用いてモデルを検証した。その結果、観光によって自己の成長を感じるポジティブな経験をすることが訪問先との感情的つながりを強め、そのつながりが移住意図に影響することが明らかになった。
  • ―北海道釧路市の長期滞在事業を事例に―
    森重 昌之, 内田 純一, 敷田 麻実, 海津 ゆりえ
    2020 年 32 巻 1 号 p. 47-59
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル オープンアクセス
    人口減少社会を迎えた日本では、地域外関係者のかかわりを意識したまちづくりが求められている。本研究は地域外関係者のまちづくりへのかかわりを議論した先行研究を整理し、その課題を指摘した。そして、「まちづくりへのかかわりの主体性」と「地域資源」の観点から地域外関係者のかかわりを捉える類型化モデルの理論の概略を整理した。その上で、北海道釧路市の長期滞在事業を例に、類型化モデルを適用して分析した結果、地域外関係者のかかわりの実態やその変容の要因を明らかにできた。今後、類型化モデルを用いることで、地域側は多様な地域外関係者の特性を捉え、それに応じたまちづくりを実践できると考えられる。
研究ノート
  • ―山梨県甲州市勝沼地域を事例として―
    菊地 淑人, 髙橋 瑞季
    2020 年 32 巻 1 号 p. 61-68
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル オープンアクセス
    農村観光では、農産物がもつ観光的特性が観光地域における観光目的・行動等にも影響を及ぼすと考えられる。本稿では、国内有数のブドウ・ワイン産地である山梨県甲州市勝沼地域を対象に、「高付加価値の果樹」を資源とする観光地域における旅行者の特性や現地行動を検討した。その結果、ブドウ購入が来訪者の主要な来訪目的のひとつとなっており、その傾向はリピーター層ほど強く、購入を目的とする層は域内の回遊性も低いことなどが指摘された。他方、レンタサイクルを用いた旅行者は、時期に応じた地域の観光資源を回遊していることが明らかとなった。高付加価値の果樹を資源とした農村観光は、購入が来訪の目的化することでリピーター獲得につながる一方で、観光行動の充実には域内交通手段の整備等を通じた面的な回遊の向上が課題として指摘できる。
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