抄録
本研究では、「持続可能な観光」の実現を背景として、戦略的観光地マネジメント(SDM: Strategic Destination Management)の概念を示した。次に、鎌倉市を分析対象地域と設定して、System Dynamicsモデルの構築を行った。分析の結果、実観光客数を増加させるためには観光プロモーションに相当するソフト的対策が、1人当たり消費額増加のためには、観光費、魅力度を重視する必要があること、短期的な経済効果増大に対して、満足度減少によるリピーターへの変容が減少することが考察できた。複数のシナリオを比較検討できることから、各関係主体のメリット、デメリットの把握とそれに基づく合意形成がSDMによって可能と考えられる。