観光研究
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33 巻, 2 号
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論文
  • 糸澤 幸子
    2022 年 33 巻 2 号 p. 5-19
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、コロナ禍においてクルーズ運航を再開した13船社のマネジメントシステムを比較検証し、クルーズ船の安全性について一つの指標を示すことを目的とした。WHO CDC CLIAが推奨するマネジメント要素に対して、13船社のマネジメント実施状況を調査したところ、実施数が高い船社ほど感染者を出さず順調に運航する傾向が見られた。感染が発生した7船社の感染経緯とマネジメント実施状況から感染要因を分析し、クルーズ船の安全性を高めるには乗客の居住地等を制限し、事前のPCR検査とスクリーニング検査を併用することが、船内ソーシャルバブルの形成に繋がる重要なマネジメントシステムであることを確認した。
  • ―鎌倉市を事例として―
    古屋 秀樹, 安本 達式, 近藤 千恵子
    2022 年 33 巻 2 号 p. 21-34
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では、「持続可能な観光」の実現を背景として、戦略的観光地マネジメント(SDM: Strategic Destination Management)の概念を示した。次に、鎌倉市を分析対象地域と設定して、System Dynamicsモデルの構築を行った。分析の結果、実観光客数を増加させるためには観光プロモーションに相当するソフト的対策が、1人当たり消費額増加のためには、観光費、魅力度を重視する必要があること、短期的な経済効果増大に対して、満足度減少によるリピーターへの変容が減少することが考察できた。複数のシナリオを比較検討できることから、各関係主体のメリット、デメリットの把握とそれに基づく合意形成がSDMによって可能と考えられる。
  • ―コミュニケーションの視座から―
    藤田 玲子, 田中 直子
    2022 年 33 巻 2 号 p. 35-45
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は観光の接客場面に重要なホスピタリティのコンピテンシー抽出を試みることを目的とし、6名のホテル業従事者へのインタビューデータと、厚生労働省評価シートのホテル業の抜粋部をデータとして使用し定性分析した。この結果から重要な要素として表出した概念は、ホスピタリティのコンピテンシーの先行研究および複数のコミュニケーション理論にあてはまる部分が多々あることが判明した。またコミュニケーションのフレームワークをホスピタリティ人材育成に応用することの可能性を考察した。
  • ―形成・発展史の検討による相対化を通じて―
    小林 裕和
    2022 年 33 巻 2 号 p. 47-59
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/01
    ジャーナル オープンアクセス
    観光地域を事業の拠点とする旅行サービス事業は旅行流通の一部を担ってきたが、既存研究は少なく、また呼称も様々でその使用方法に混乱も見られる。地域に根差した事業は、雇用創出や経済効果、文化の保存・活用等を通じ、地域の持続的な発展への貢献が期待でき、その事業実態の把握は重要である。本研究では、事業の形成・発展過程を検討することを通じて相対化し事業の概念整理を行った。その結果、観光地域旅行会社の発展過程は5つの時期に区分でき、旅行出発地の旅行会社の委託により手配を行う段階から、MICE等の専門性や、情報技術を活用し、直接消費者に商品を流通させる事業形態にまで発展したことが明らかになった。
研究ノート
  • ―北海道スイーツ企業への調査から―
    橋元 理恵
    2022 年 33 巻 2 号 p. 61-68
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/01
    ジャーナル オープンアクセス
    新型コロナウイルスの発生は観光関連事業者に大きな打撃を与えている。北海道は観光客が多数訪れる地であり観光による経済効果は大きい。北海道の観光において北海道スイーツは重要な要素のひとつである。本研究では、新型コロナウイルスが北海道スイーツ事業者にもたらした営業活動への影響と経営環境の変化に対する経営努力についての実態を明らかにする。質問紙調査では、営業活動への影響は新型コロナウイルス前と比べると90%以上の事業者において売上高の変化があり、それに対して30%以上の事業者が何らかの新しい試みをおこなう経営努力をしている。新しい試みの実施項目は企業規模や取り扱う主品目との関連については統計的には確認されなかった。
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