2023 年 35 巻 3 号 p. 11-20
本研究では、パリ、バルセロナ、ヴェネツィアなどの欧州の主要都市のデスティネーション・マネジメント戦略の比較を計量テキスト分析によって行い、サステナブル・ツーリズムの政策的同化/分化を考察した。その結果、都市によって訪問者、産業、コミュニティ、環境それぞれの領域に関する記述量に有意な差があり、また取り組みの強度を表象すると考えられる動詞の使用にもいくつかの相違点があることが明らかになった。グローバル・イシューとして広く認識されるサステナブル・ツーリズムであるが、その政策的実践においては政策的同化だけでなく、一定の分化も生じており、地域として一定の自律的政策策定が重要であるとの結論を得た。