2023 年 35 巻 3 号 p. 61-68
本研究は、富士山保全協力金を取り上げ、静岡と山梨の両県における協力金充当事業の特徴を明らかにし、安定した基金運用による事業の継続性について考察することを目的とした。研究対象は、両県の 2014 年度から 2021年度までの活動と収支の報告とした。その結果、使途でみると、安全対策において両県の事業費と協力金充当割合が多く、静岡県では環境保全、山梨県では実施経費において協力金充当率が高かった。次に、活動の詳細をみると、静岡県では単年度 1 回限りで実施した活動の協力金充当率が 95%以上と高く、即応性のある資金として活用されていた。結果から、財源の組み合わせや事業構成の柔軟さを確保する重要性が示唆された。