2022 年 26 巻 1 号 p. 111-119
高齢ストーマ保有者とその家族が療養生活に順応する過程の訪問看護実践を明らかにするため,訪問看護師9名に半構造化面接を行い質的記述的に分析した.カテゴリーを時間軸で整理した結果,療養生活開始期は【ストーマケアの実施状況と阻害要因を把握する】【家族の担うストーマケアと生活援助の状況を観察する】【家族との距離を推し量り対話を重ね関係性をつくる】【高齢ストーマ保有者と家族との情緒的関係性を把握する】,療養生活継続期は【ストーマケアを続けるための困難に気づき対処を促す】【訪問経過で起こる排泄物の漏れに24時間対処する】【家族の情緒的関係性を柔軟に捉え変化を促す】【家族のストーマケアへの意欲を引き出し対処を促す】【家族の心理的負担を考慮しストーマケアを支える】が導かれた.訪問看護師はストーマケアに伴う困難への対処を促し,心理・経済的負担を考慮し家族の対応能力を高め,生活への順応を支えることが示唆された.