【目的】在宅脳卒中高齢者を対象とした訪問リハビリテーションが,これを受けない群と比較して臨床指標が改善するか検討する.
【方法】PRISMA Statementによる系統的レビューとメタアナリシスを行った(2019年6月13日).適格基準は,①ランダム化比較試験,②65歳以上在宅脳卒中高齢者が対象,③理学療法・作業療法・言語聴覚士いずれかの訪問リハビリテーションによる介入,④アウトカムに下肢筋力・歩行能力・日常生活活動(ADL)能力のいずれかを含む,⑤英・和論文(介入のセッティングは国内外のものを含む)とした.Cochrane Handbook for Systematic Reviews of Interventionsに基づいて,採択した研究の質の評価を行った.量的統合にはメタアナリシスの手法を用い,抽出されたデータをフォレストプロットにより量的に統合した.
【結果】22研究を採択した.下肢筋力は1研究で報告されたが,改善は認めなかった.歩行能力(I2 = 71.3%),ADL能力(I2 = 91%)の各7研究は,統計学的異質性が高く統合値を提示できなかった.介入期間3か月(SMD = 0.32,95% CI = -0.03-0.68, I2 = 26%,p = 0.07)および9~18か月(SMD = -0.05,95% CI = -0.20-0.11, I2 = 18%,p = 0.57)のサブグループ解析でも,歩行能力には両群間に差を認めなかった.
【結論】在宅脳卒中高齢者を対象とした訪問リハビリテーションは,現時点で下肢筋力,歩行およびADL能力の改善を示す根拠はない.
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