本研究はALSで人工呼吸器装着中呼吸器感染症を併発し,入院をすすめられたが拒否した利用者を対象に,訪問看護で専門.的ケアを実施し,その効果および医療費削減の有効性を明らかにするものである.方法は1事例の事例研究であり,排痰ケアを中心としたケアプランを作成し,患者の症状や検査データのアウトカムで評価した.医療費は入院した場合の在院日数と検査,薬剤から見積もり金額を算定した.訪問看護での医療費は実際の訪問看護療養費と実施した検査,薬剤の回数から算出した.結果,入院した場合の見積もりは最短で14日間であり,実際の訪問看護では7日間で症状は回復し検査データも正常化した.また,入院に比べ訪問看護では検査,治療処置が少なく,コスト的にも低額であった.
今後,入院による在院日数短縮化が進むなかで,訪問看護方法の専門性を高め,検証していく必要がある.