日本在宅ケア学会誌
Online ISSN : 2758-9404
Print ISSN : 1346-9649
原著
家族介護者の介護に対する認知的評価を測定する尺度の構造:肯定・否定の両側面に焦点をあてて
広瀬 美千代岡田 進一白澤 政和
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2005 年 9 巻 1 号 p. 52-60

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抄録

介護に対する家族介護者の認知的評価を測定する尺度「認知的介護評価」を開発することを目的とした.「認知的介護評価」は肯定・否定の両側面で構成される尺度である.調査は家族会会員を対象とした郵送調査である.主成分分析および下位尺度間の相関分析を行った結果,以下の3点が明らかになった.(1)6つの因子が抽出され,否定的側面の因子は,「社会生活制限感」「介護継続不安感」「関係性における精神的負担感」に,肯定的側面の因子は「介護役割充足感」「高齢者への親近感」「自己成長感」に命名された.(2)否定的側面の領域内および肯定的側面の領域内における下位尺度間の相関は,おのおの正の相関が高かった.「高齢者への親近感」は全否定的側面の因子と弱い負の相関を示し,「自己成長感」はどの否定的側面の因子とも有意な相関がみられなかった.(3)尺度としての信頼性は十分にあり,解釈可能な因子が抽出されたことより内容妥当性が確認された.結果より,本尺度は,介護に対する肯定・否定の両側面の評価を同時に測定できることから,介護者支援を行ううえでの重要な指標の1つになると考えられる.

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© 2005 一般社団法人日本在宅ケア学会
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