日本助産学会誌
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10代妊婦に関する研究内容の分析と今後の課題
-1990年から2005年の国内文献の調査から-
小川 久貴子安達 久美子恵美須 文枝
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2006 年 20 巻 2 号 p. 2_50-2_63

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抄録

目 的
 本研究では,1990年から2005年の10代妊婦に関する国内文献の内容を分析し,今後の課題を明らかにすることである。
対象と方法
 「医中誌WEB:」及び,「最新看護検索」を用い,キーワードを,『未成年者妊娠,若年初産婦,10代妊娠,思春期妊娠』として検索し,得られた106件の文献内容を分析し,それを分類して検討した。
結 果
 文献内容を分析した結果,10代妊婦の背景や妊娠から育児に関する実態と今後の課題の合計5項目が明らかになった。その中で,既存文献では,10代妊婦の実態やケア実践への提言は比較的多くなされているが,ケアの効果を実証する研究や10代の年齢による特性の違いを論じる研究は少ないことが明らかになった。さらに,10代女性にとっての妊娠の受容過程や,10代で妊娠することや子育てを経験することが,その社会のなかでその人にどのような意味をもち,健康面にどのように影響するかという心理・社会的状況についても十分には明らかになっていないことが判明した。
結 論
 今後の10代妊婦の研究では,実践のエビデンスを提供する質の高い研究を目指して,対象者の特性をより明らかにする主観的体験を探求する研究などが重要である。

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© 2006 日本助産学会
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