日本助産学会誌
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原著
熟練助産師の分娩期における判断の手がかり
渡邊 淳子恵美須 文枝
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2010 年 24 巻 1 号 p. 53-64

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抄録
目 的
 本研究の目的は,熟練助産師が分娩期において何を手がかりとして判断をしているのかを記述することで熟練助産師の判断の特徴を理解することである。
対象と方法
 研究デザインは質的記述的研究デザインである。本研究における熟練助産師の定義は,助産師として20年以上の経験を持ち,さらに分娩介助の経験が1,000例以上ある助産師をいう。研究参加者は助産師経験が27年から53年,分娩介助例数が1,000例から3,000例以上をもった4名の助産師である。研究の目的・研究方法等の説明をしたのち,助産師と産婦に研究参加についての承諾を得て実施した。それぞれの助産師が関わった9例の分娩を参加観察し,観察した内容をフィールドノーツに記載しケア場面を抽出した。その抽出したケア場面の判断を中心に半構成的インタビューを実施し,質的に分析した。
結 果
 分析の結果,熟練助産師が分娩期に行う判断の手がかりとして【手で観る】【からだことばを読む】【進行を見通す】【自然な流れに沿う】【助産観を基盤にする】という5つのカテゴリーとそれぞれに含まれる15のサブカテゴリーが抽出された。以上のカテゴリーから熟練助産師の判断の特徴として『経験知を活かす』『自己の信念に基づく』の2つのテーマが導き出された。
結 論
 熟練助産師は,経験から導かれた自己の身体を活用した知を活用し,自然分娩に対する自己の信念を持ち判断を行っていた。
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© 2010 日本助産学会
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