日本助産学会誌
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原著
助産師が認識するネガティブサポートの構造
千葉 邦子
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2010 年 24 巻 2 号 p. 238-251

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抄録
目 的
 助産師が認識する妊産褥婦に対する助産師からのネガティブサポート(以下NS)とはどのようなものか,NSに関連する要因は何か,NSの結果どのようなことが生じたかを明らかにする。
対象と方法
 病院勤務助産師9名に半構成的面接を実施した。NSに関連した語りを意味内容ごとに切片化しコーディング,カテゴリー化を図り,ラベル,サブカテゴリー,カテゴリーを作成した。
結 果
 NSを特徴づける属性は,《NSとなった助産師の言動》《NSを受けた対象者の反応》の2つのカテゴリーで構成された。また,NSに関連する要因は,《人的要因》《環境要因》《システム要因》の3つのカテゴリーで構成された。《人的要因》には,【対象者の特性】【助産師の特性】【コミュニケーション】の3つのサブカテゴリー,《環境要因》には,【人的環境】【労働環境】の2つのサブカテゴリー,《システム要因》には,【病院・病棟のシステム】の1つのサブカテゴリーが見出された。さらに,NS後の帰結は,《NS後の受け止め方とその後の対応》《NS体験を通して助産師が得たもの》という2つのカテゴリーで構成された。《NS後の受け止め方とその後の対応》には,【NSに気づいた後の助産師の気持ち】【NSに気づいた後の助産師の対応】【NS後の病院・病棟の対応】【NSへの対応後の対象者の反応】の4つのサブカテゴリー,《NS体験を通して助産師が得たもの》には,【助産師としてケアすることへの意識の高まり】【助産師自身のアイデンティティの高まり】【NSに対する意味づけ】【助産師に残る未解決の思い】の4つのサブカテゴリーが見出された。
結 論
 身体的・精神的に不安定な状態にある妊産褥婦を支援する際は,まず相手に対して興味を抱き,尊重し,思いやりの心を持って相手の立場で物事を考えることの重要性が示唆された。また,相手の意思を確認しながら「なぜ」それが必要なのか内容を吟味して伝えること,相手の様々なサインをありがたいものとして受け入れること,コミュニケーションのあり方について振り返る時間を持つこと,自分の失敗経験を活用していくことの重要性が示唆された。
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© 2010 日本助産学会
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