抄録
目 的
助産師が行っている超音波検査の実態,助産師の認識,必要な教育を調べた。
対象と方法
インターネット上で検索した助産師外来を設けている病院・診療所67施設と,有床の助産所81施設の助産師(n=794)に無記名質問紙調査を実施した。
結 果
1 )助産師が超音波検査を実施している施設は,実施していない施設よりも分娩件数に差はなかったが,助産師数と医師数は有意に少なかった。
2 )超音波検査を実施している助産師(実施群)は実施していない助産師(未実施群)よりも,年齢は有意に高く,経験年数は有意に長かった。
3 )実施群では,76.4%が「助産師が超音波検査を行うことに妊産褥婦や家族は満足すると思う」,64.9%が「超音波検査は助産師業務の範囲内だと思う」と答え,肯定的に評価した。
4 )助産師が超音波検査を行う利点は,実施群では「コミュニケーション手段に有効」「妊婦や家族の胎児への関心を引き出す」「胎児の発育・異常の判断に有効」「医師よりも多くの時間がかけられる」が有意に高率で,欠点は未実施群では「医師との診断の相違の可能性」「業務負担」が有意に高率であった。
5 )異常所見が見られた場合の助産師の説明については,「正常逸脱の可能性は伝えるがその診断名は伝えない」が8割前後を占めた。
6 )超音波検査の教育はほぼ100%が必要と答え,教育方法では「院内教育」が8割と多かった。教育内容は「操作方法の講義・実習」「画像診断の講義・実習」などの実践に即した教育を望んでいた。
結 論
医師および助産師が少ない施設においては両者の役割分担が進み,助産師による超音波検査の実施が進行していることから,超音波教育体制や異常所見時の相談体制の整備の必要性が示唆された。