日本助産学会誌
Online ISSN : 1882-4307
Print ISSN : 0917-6357
ISSN-L : 0917-6357
資料
Breast Awareness 支援のプログラム開発とプロセス評価
吉野 都江藤 宏美
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 24 巻 2 号 p. 375-385

詳細
抄録

目 的
 助産師によるBreast Awareness支援のプログラム開発過程と実施事例,プロセス評価を記述する。
方 法
 評価研究。ヘルスプロモーションの概念を基盤としたプログラム開発のモデルを参考に,助産師による乳がんの正しい情報提供を中心としたBreast Awareness支援のプログラムを作成した。ヘルスプロモーションのプログラムには,ニーズアセスメントから結果評価まで一連のサイクルがあるが,本研究では,その一部であるニーズアセスメント,プログラムの計画と実行から,プロセス評価を試み記述した。対象者は,成人女性,特に卒乳を視野に入れている児が1歳前後の母親10名とした。プログラムは,参加者5名ずつ,2回実施した。
結 果
 ニーズアセスメントにて,乳がんの健康問題の分析を行い,寄与リスクファクター(前提要因,実現要因,強化要因)を明確にし,プログラムの要素を抽出した。プログラム計画では,プログラムの目的,サブ目標,戦略目標,参加者の目標を示し,目標達成のためのプログラム実行の具体案を選定した。
 上記のプログラム計画の過程で,参加者の目標(1)乳房が大切なものだと考える,(2)乳がんの正しい情報を得る,(3)Breast Awareness の啓発がなされる,を選定した。ニーズアセスメントで抽出したプログラムの要素から,プログラム内容をBreast Awarenessの5つのコード(1) 自分の乳房を知る,2) 乳房を見て感じる,3) 乳房の変化に気づく,4) 変化を感じたら敏速に医療機関にかかる,5) 40歳から乳がん検診を受ける:National Health Service, United Kingdom)を中心に,参加型のグループワークを実施した。プログラム実施後のプロセス評価を基に,プログラムの一部を修正し提示した。
考 察
 プログラムと評価がサイクルであるヘルスプロモーションの基盤に沿ったプログラム開発の戦略的意義,助産師によるBreast Awareness 支援の重要な要素と今後の検討課題,women's health care として助産師が乳がん啓発のためにとりくむための助産実践への示唆,以上3点の重要性が確認された。

著者関連情報
© 2010 日本助産学会
前の記事 次の記事
feedback
Top