日本助産学会誌
Online ISSN : 1882-4307
Print ISSN : 0917-6357
ISSN-L : 0917-6357
原著
褥婦のバースプランの認識と出産満足度との関連に関する研究
佐藤 彰子梅野 貴恵
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 25 巻 1 号 p. 27-35

詳細
抄録

目 的
 褥婦のバースプランの認識を調査し,出産満足度との関連を明らかにすることを目的とし,妊産婦が満足な出産をするためにバースプラン作成のプロセスの中で助産師に求められる役割について検討する基礎資料とした。
対象と方法
 対象は産褥2日~7日の褥婦442名で,データは自記式質問紙調査を用いて収集した。調査内容は属性,分娩時の状況,バースプラン記入時の状況について,バースプランの認識(10項目5件法),出産体験の自己評価尺度短縮版(常盤2001,18項目5件法)である。分析はSPSSver.16.0を使用し,有意水準は5%とした。
結 果
 質問紙は416部が回収され(回収率94.1%),有効回答数は370部(有効回答率88.9%)であった。出産満足度を従属変数とした重回帰分析(調整済みR2=0.361,p<0.01)により出産満足度に関連する要因として,分娩歴,分娩様式,分娩時間,褥婦から見た児の状態,医療スタッフの理解や尊重ある対応,バースプランの認識が抽出された。この出産満足度に関連する要因を調整し,分娩経過に問題のなかった群を対象に,分娩歴別での褥婦のバースプランの認識と出産満足度との相関係数を求めると,初産婦r=.326(p<0.01),経産婦r=.442(p<0.01)であり,出産満足度と有意な正の相関が認められた。また,褥婦のバースプランの認識はバースプラン記入時の相談があること,バースプランに関する情報収集をしていること,バースプランへの期待やこだわりを持っていることで,それらをしていない,持っていない場合に比べ有意に高くなった(p<0.01)
結 論
 分娩経過に異常がなかった褥婦のバースプランの認識は出産満足度と関連があることが明らかとなった。バースプラン作成のプロセスは出産満足度を高めるひとつのアプローチであり,バースプランの活用は満足なお産を提供する上で重要であることが再確認された。

著者関連情報
© 2011 日本助産学会
前の記事 次の記事
feedback
Top