日本助産学会誌
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不妊治療を経て妊娠した女性の第1子妊娠期から産褥期・育児期までの体験
勝村 友紀神谷 摂子惠美須 文枝
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2014 年 28 巻 2 号 p. 218-228

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抄録
目 的
 不妊治療を経て妊娠した女性の,第1子妊娠期から産褥期・育児期に至るまでの体験を明らかにする。
対象と方法
 不妊治療を受け第1子を出産後,第2子妊娠のため再び不妊治療を受けている女性9名を対象に,第1子の不妊治療による妊娠期から産褥期・育児期までの体験について,半構成的面接によってデータを得て質的記述的研究を行った。
結 果
 妊娠期の体験として【沸き上がる第2子への欲求】,【予想に反した妊娠や出産への実感のなさ】,【妊娠の喜びと誇らしさ】,【出産施設の選択に対する不安と安心】,【長い道のりを経てここまで来れたことの安堵感】,【自然分娩ができないことを割り切る】,【胎児の異常や障害に対する不安と大丈夫という気持ちの揺らぎ】,【家族に対するありがたさとストレス】,【妊娠継続の不確かさを抱く】の9つのカテゴリー,分娩期の体験として【健康な児の出生への切望】,【充足感の薄い出産】,【母親になれた喜びと育児への意欲】の3つのカテゴリー,産褥期・育児期の体験として【赤ちゃんの存在から感じる喜び】,【薄れていく赤ちゃんへの心配】,【苦労の末の嬉しい出産でも初めての育児は不安】,【出産の実感や感動の薄さ】,【不安な出来事と治療を結びつける】の5つのカテゴリーが抽出された。
結 論
 不妊治療を経て妊娠した女性は妊娠期,分娩期,産褥期・育児期において胎児の異常や障害に対する不安や,妊娠・出産の充足感が薄いなど多様な体験をしていた。看護者は不妊女性がこのような独特の体験をしていることを理解し,ケアを行っていく必要があることが示唆された。
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© 2014 日本助産学会
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