2023 年 37 巻 2 号 p. 194-205
目 的
つわりに対する情報提供を主とした看護支援の効果を明らかにする。
方 法
5つのデータベースを網羅的に検索し,抄録からPICOを満たす実験研究または準実験研究を抽出した。本文を精査し,最終的に文献を採択した。論文の質はCochraneのRisk of Bias ver.2にて著者らが個別に査定し,異なる見解となった項目は討議し評価を統一した。
結 果
計6件の論文を採択した。つわりの自覚症状は,Index of Nausea, Vomiting, and Retching,The Motherisk Pregnancy-Unique Quantification of Emesis and Nausea,Visual Analogue Scaleで計測され,妊婦のQuality of LifeはHealth-Related Quality of Life for Nausea and Vomiting during Pregnancyで計測された。加えてつわりの持続日数を追跡した論文があった。介入方法は,電話訪問,面談と電話訪問の組み合わせ,集団への講義,講義と意見交換の組み合わせがあった。ベースライン調査の後,介入2週後や4週後での調査や,毎週の追跡が行われた。つわりに対する情報提供を主とした看護支援は,つわりの苦痛軽減に一定の効果が期待できる可能性があるが,質評価は“High risk of bias”もしくは“Some concerns”という結果であった。
結 論
つわりへの看護支援の効果を検証する研究では,ランダム化比較試験の実施や事前のプロトコル公開,つわりの自覚症状を計測する尺度の統一やアウトカム指標を単一のものに限定すること,つわりの生理的変化を考慮した介入の時期やフォローアップの間隔を検討し,バイアスのリスクを軽減させ結果の信頼性を高める必要がある。