抄録
スウェーデンにおける神経発達障害の範疇にある幼児の困難な状況に対応する医療的支援の一例として,有用であるとの評価が高く,支援の在り方に示唆を与えたBrygganチームの活動に注目し,主にインタビューと参与観察により支援の構成要素と社会的役割について検討した. チームの特徴は,1エビデンスに基づく神経発達障害に関する高い専門性,2医療職中心に教育や心理との多領域専門職チーム,3アクセスから支援までの待機期間の短さ,4子どもの困難な状態 だけではなく全体を対象にすること,また,5親とラポールを築き,親を支援者として巻き込むこと,6就学前学校との連携と教員の対応力醸成,7義務教育への橋渡し,8神経発達障害に起因する健康問題の予防,9地域でのネットワーク形成と啓発等である.医療機関という特別な場所にお いてだけではなく,家庭や地域の就学前学校に届くBrygganの医療的支援は子どもの生活に根差したものであった.