植物研究雑誌
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南アジア産ジャノヒゲ属の分類学的検討Ⅰ
田中教之
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1998 年 73 巻 6 号 p. 301-313

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抄録

タイプを含む多数の標本の検討の結果,Ophiopogon longifolius,O. micranthus,O. malcolmsonii,O. brevipes,O. subverticillatus,O. humilis の6種は同一種であるとの結論を得た.この種の正名はO. longifolius Decne. である.本種で葉に白条のあるものがしばしば栽培されており,筆者はこれを沖縄本島,中国の香港と雲南省で確認した他,ベトナムで栽培されているものの標本を今回検した.O. longifolius は花の大きさ,花柱の太さや形,花糸や葯の長さ,花茎の長さ,葉の長さや巾,等においてやや幅広い変異がある一方,比較的太い根を持ち,花序の花茎に対する長さの割合は通常比較的高く [ca. (1/4-)1/3-1/2あるいはそれ以上],花茎は多かれ少なかれ扁圧された傾向を示すが,縦走する2翼(ジャノヒゲ属ではしばしば発達が見られる)は必ずしも発達せず,発達してもその巾は大変狭いことが多く,花柱は(やや細めの)円錐状を呈する傾向が強い,などの特徴を持っている.本種はインド東部,ミャンマー,タイ,カンボジア,ラオス,ベトナムに分布している.

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© 1998 植物研究雑誌編集委員会
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