日本産のコハシゴシダとその近縁種であるヒメハシゴシダ,ハシゴシダの染色体数を算定した.コハシゴシダでは7産地9個体を調査したが,8個体は2n=162であり,染色体基本数27の6倍体であった.1産地では正6倍体とともに2n=164の高6倍体も見つかった.ヒメハシゴシダには基本数27の2倍体と4倍体が知られているが,今回の研究で調べることのできた1個体は2倍体であった.ハシゴシダでは13産地からの14個体で2n=108(X27の4倍体)が観察された.本種の基本数は34,36,40であるとの報告があるが,このことについてはさらに調査を要する.以上の結果から,6倍性を示すコハシゴシダは倍数性に関して他の2種とは明確に区別されることが確認された.外部形態の類似および27という共通の染色体基本数から,日本産のこれら3種は少なくとも一部に共通のゲノムをもつのではないかと推察された.