植物研究雑誌
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73 巻, 6 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
  • 原稿種別: 表紙
    1998 年 73 巻 6 号 論文ID: 73_6_9292
    発行日: 1998/12/20
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー
  • 田中教之
    原稿種別: 原著
    1998 年 73 巻 6 号 p. 301-313
    発行日: 1998/12/20
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー

    タイプを含む多数の標本の検討の結果,Ophiopogon longifolius,O. micranthus,O. malcolmsonii,O. brevipes,O. subverticillatus,O. humilis の6種は同一種であるとの結論を得た.この種の正名はO. longifolius Decne. である.本種で葉に白条のあるものがしばしば栽培されており,筆者はこれを沖縄本島,中国の香港と雲南省で確認した他,ベトナムで栽培されているものの標本を今回検した.O. longifolius は花の大きさ,花柱の太さや形,花糸や葯の長さ,花茎の長さ,葉の長さや巾,等においてやや幅広い変異がある一方,比較的太い根を持ち,花序の花茎に対する長さの割合は通常比較的高く [ca. (1/4-)1/3-1/2あるいはそれ以上],花茎は多かれ少なかれ扁圧された傾向を示すが,縦走する2翼(ジャノヒゲ属ではしばしば発達が見られる)は必ずしも発達せず,発達してもその巾は大変狭いことが多く,花柱は(やや細めの)円錐状を呈する傾向が強い,などの特徴を持っている.本種はインド東部,ミャンマー,タイ,カンボジア,ラオス,ベトナムに分布している.

  • 中藤成実
    原稿種別: 原著
    1998 年 73 巻 6 号 p. 314-318
    発行日: 1998/12/20
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー

    日本産のコハシゴシダとその近縁種であるヒメハシゴシダ,ハシゴシダの染色体数を算定した.コハシゴシダでは7産地9個体を調査したが,8個体は2n=162であり,染色体基本数27の6倍体であった.1産地では正6倍体とともに2n=164の高6倍体も見つかった.ヒメハシゴシダには基本数27の2倍体と4倍体が知られているが,今回の研究で調べることのできた1個体は2倍体であった.ハシゴシダでは13産地からの14個体で2n=108(X27の4倍体)が観察された.本種の基本数は34,36,40であるとの報告があるが,このことについてはさらに調査を要する.以上の結果から,6倍性を示すコハシゴシダは倍数性に関して他の2種とは明確に区別されることが確認された.外部形態の類似および27という共通の染色体基本数から,日本産のこれら3種は少なくとも一部に共通のゲノムをもつのではないかと推察された.

  • 田中伸幸
    原稿種別: 原著
    1998 年 73 巻 6 号 p. 319-324
    発行日: 1998/12/20
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー

    カンナ科の数種は古くはアンデス地域のインカ族がその根茎を澱粉食として利用していた歴史をもつ.現在では氾世界的に熱帯,亜熱帯地域に伝播し,熱帯アジア地域でも自給的あるいは商業的に利用が見られるが,その分類,特性に関する調査研究は殆どなく,その必要性が指摘されていた.筆者はシンガポール大学植物学科に在籍中,東南アジアにおける食用カンナの利用,分類の調査を行った.本稿では,そのうち,食用カンナの利用の割合の高かったベトナムにおいて南部を中心として行った簡単な資源植物学的研究の結果を報告する.ベトナム南部では調査地の全てで1種の食用カンナが利用されており,根茎を茹でて食用に供しているほか,澱粉にしてそれを湯に溶き,葛湯様に飲用する.また,澱粉を麺に加工して市場で販売するという商業的な利用がみられた.この食用カンナは従来あてられていたCanna edulis Ker Gawl. ではなく,むしろC. discolor Lind. に一致した.C. discolorC. indica L. とは異なり,きわめて根茎が腕状に肥大する有用種であった.将来的な熱帯地域での澱粉源植物としての食用カンナの開発研究のためにはカンナ科の分類体系の確立が不可欠であり,熱帯アメリカ地域でのさらなる遺伝子資源探索が必要である.

  • 大場秀章 , I. A. アルシェーバズ , 武素功
    原稿種別: 原著
    1998 年 73 巻 6 号 p. 325-331
    発行日: 1998/12/20
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー

    著者は,崑崙とその西側に連なるカラコルム山脈北側で1987年から1989年にかけて行われた中国科学院による総合科学考察で採集したアブラナ科標本を同定した.この地域のアブラナ科植物の情報はほとんど皆無であったので,本報告が最初のアブラナ科植物相の記録となる.同定の結果,32種のアブラナ科植物が産することが判明したが,ヒマラヤから横断山脈,チベット,中央アジアにおいて高い種多様性をもつアブラナ科としては,種多様性は低い.調査が不十分であることは考慮せねばならないが,このことには,乾燥などの環境要因の影響により高茎草原のようなアブラナ科植物の種多様性が高い立地が欠如していることが反映しているものと考えられる.32種中,Erysimum handel-mazzetti A. Polatsckek は新彊とチベット,Pegaeophyton scapiflorum (Hook. f. & Thomson)C. Marquand & Airy-Shaw およびBraya oxycarpa Hook. f. & Thomson は新彊,Lepidium alashanicum H. L. Yang は青海省に今回新たに見出された種である.また,従来中国からSterigmostemum tometosum (Wild.)M.-Bieb.として報告されてきた植物はOreoloma eglandulosum Botschantsev の誤同定であることが判明した.

  • 山口賢一 , 上野雄規
    原稿種別: 短報
    1998 年 73 巻 6 号 p. 332
    発行日: 1998/12/20
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー
  • 山崎恭男 , 門田裕一
    原稿種別: 短報
    1998 年 73 巻 6 号 p. 333-334
    発行日: 1998/12/20
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー
  • 中村武久 , 大場秀章
    原稿種別: 追悼
    1998 年 73 巻 6 号 p. 335
    発行日: 1998/12/20
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー

    東京農業大学名誉教授常谷幸雄博士は平成9年(1997)11月5日,急性心不全により亡くなられた.享年93歳.博士は明治37年(1904)3月31日に金沢市で生まれ,日本獣医学校(後の日本獣医畜産大学)を経て,大正13年(1924)4月東京農業大学予科に入学し,昭和4年(1929)3月に同学農学部を卒業された.在学中三宅一郎教授のもとで植物病理学を専攻し,Fusarium による萎調病,Sphace-loma による瘡痂病の研究に従事された.研究成果の一部は『コロシントウリの萎調病に就いて』(本誌29: 279‐281),『マメキンカンの瘡痂病に就いて』(本誌32: 92‐95)として本誌にも発表されている.

     これらの研究を通じて宿主となる植物についても関心を深められたが,特に牧野富太郎博士が「東京より極手近な伊豆諸島の様々な処でさへも今だに手が届かないで,其の植物は全く暗黒の裏に葬り去られている様な有様である」と嘆じられたことに感銘決起し,伊豆諸島全11島の植物相を詳細に調査された.博士の採集品にもとづいて,佐竹義輔,中井猛之進,本田正次博士らが同諸島から数多くの新植物を発表した.また,この研究により東京農業大学より学位を授与された.

     1968年からはフヨウ属の分類学的研究に着手され,研究成果の一部が『西南日本に自生するサキシマフヨウ(新称)について』(本誌59: 214‐222)などとして発表されたが,大半は未完のまま残された.

     博士の採集された標本は東京農業大学に収蔵されるが,タイプや典拠標本は東京大学や国立科学博物館に保管される.博士の生前の植物分類学への貢献と指導に感謝申し上げ,心からご冥福をお祈り申し上げる.

  • 金井弘夫
    原稿種別: 新刊
    1998 年 73 巻 6 号 p. 336
    発行日: 1998/12/20
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー
  • 金井弘夫
    原稿種別: 新刊
    1998 年 73 巻 6 号 p. 336
    発行日: 1998/12/20
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー
  • 金井弘夫
    原稿種別: 新刊
    1998 年 73 巻 6 号 p. 336-337
    発行日: 1998/12/20
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー
  • 山崎敬
    原稿種別: 新刊
    1998 年 73 巻 6 号 p. 337
    発行日: 1998/12/20
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 新刊
    1998 年 73 巻 6 号 p. 337-338
    発行日: 1998/12/20
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー
  • 千原光雄
    原稿種別: 新刊
    1998 年 73 巻 6 号 p. 338
    発行日: 1998/12/20
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー
  • 金井弘夫
    原稿種別: 新刊
    1998 年 73 巻 6 号 p. 338
    発行日: 1998/12/20
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 索引
    1998 年 73 巻 6 号 論文ID: 73_6_9307
    発行日: 1998/12/20
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー
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