植物研究雑誌
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新たに確認されたバラ科‘稚木の桜’
勝木俊雄
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2016 年 91 巻 2 号 p. 84-87

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抄録

‘稚木の桜’は,牧野富太郎が1906年に高知県産の標本をもとに学名を記載した分類群で,冬芽から伸びたシュートの多くが花と葉をつける混生枝となるヤマザクラの栽培品種である.現在,牧野の記載した株から増殖された系統が栽培されているが,野生では確認されていない.ところが,高知県大月町の月光桜と名付けられたヤマザクラの実生苗を育苗したところ,‘稚木の桜’と同じく花と葉をつける混生枝をつける2年生の実生苗が2株確認された.‘稚木の桜’は,高知県を含む西日本に広く存在する突然変異であることが示唆された.

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© 2016 植物研究雑誌編集委員会
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