2020 年 95 巻 2 号 p. 85-88
2019年のミャンマー,カヤ州での植物調査により,特異的に石灰岩の割れ目に生えているテンナンショウ属の新種Arisaema kayahense J. Murataを発見した.放射状の葉と2列縦生の葉序を持っており,クルマバテンナンショウ節に属する.種の識別点となる特徴には,小葉の縁が展開初期に強く外曲すること,仏炎苞の筒部が太短く,口辺部が急に幅広く開出して舷部に移行すること,雄花序の付属体が特に小さいことなどが上げられる.岩壁に着生する生態も特徴的である.