高齢化社会において,心不全患者におけるサルコペニアの合併は生命予後を悪化させる深刻な問題である。最近の研究で,心不全後に骨髄内の造血幹細胞がエピジェネティックに変化し,炎症性マクロファージを増加させることが判明した。この中枢性自然免疫記憶と呼ばれる現象が,心不全再発や慢性腎臓病を引き起こし,サルコペニアを含む多臓器障害の原因となっていることが明らかになった。特に骨格筋の再生能力が低下し,筋萎縮や筋力低下が進行するメカニズムの解明が重要である。このメカニズムを理解することは,心不全に伴うサルコペニアの予防や治療の新たな標的を見出す上で極めて重要であり,将来的な治療戦略の構築にもつながることが期待される。本稿では,この新たな病態概念を最新の研究成果を踏まえて詳細に解説し,臨床応用への展望を提示する。