海洋管理協議会による水産物の持続可能性のための認証制度とエコラベル制度が国際的に導入されてから25年が経つ。国際的に取引される資源に対する国際資源管理認証制度は,1993年設立のFSC認証に始まり,1997年には水産物を対象としたMSC認証,そして,2010年の養殖水産物のASC認証へと続く。この間,水産物の国際認証制度は,「創成期」「乱立期・定着期」「業界標準期」を経て,2010年代からは同業者同士による認証取得のための相互サポートのツールとしての側面も持つようになった。つまり,企業や環境NGOにとっての認証制度は「他社との差別化」を目的としたものから「前競争的協働のツール」へと変化してきた。前競争的協働(pre-competitive collaboration)とは,国際的にビジネスを展開する小売り企業や加工会社が共同で出資し,乱立する認証制度のクオリティを審査する団体であるGSSIを設立する動き,あるいは,同魚種を養殖する,時には国をまたぐ複数の水産養殖会社が,餌の開発など,協力して国際認証の取得を目指す動きなどを指す。つまり,差別化のツールであった認証やエコラベルが「業界標準化」されつつあるといえる。本稿では,かつて差別化のツールであった水産認証制度とそのエコラベルが,業界標準化したのちに,国際的な水産資源管理ガバナンスにおいて,どのような役割を担うかについて議論する。