日本外傷学会雑誌
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症例報告
ドクターヘリによる搬送で救命し得た腹部多臓器損傷の1例
上田 健太郎山添 真志川副 友岩﨑 安博川嶋 秀治山上 裕機篠﨑 正博中 敏夫
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2011 年 25 巻 3 号 p. 366-370

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抄録

 症例は41歳, 男性. 山間部での交通事故を覚知し, 28分後救急隊が現場到着した. ショックバイタルのためドクターヘリが要請され, その25分後現地付近に着陸した (当院まで救急車で約100分の場所). Primary surveyと初期輸液を施行した後離陸し, バイタルサインが安定した状態で当院ERに搬入された (救急隊到着からER入室まで58分). その後FASTは陽性となり血圧が低下したため緊急輸血を施行した. 安定後CTで消化管穿孔, 肝損傷と診断し緊急手術となった (ER滞在時間62分). 胃十二指腸動脈の断裂に対し結紮止血し, 肝損傷部位は縫合術を施行し, また十二指腸球部に穿孔を認め単純閉鎖した. 術後16日目に軽快転院となった. ドクターヘリで救命できた腹部多臓器損傷の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.

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© 2011 一般社団法人 日本外傷学会
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