2012 年 26 巻 1 号 p. 36-39
症例は72歳, 男性. 血友病Aにて当院加療中で, インヒビター値376.1BU/mlと高力価インヒビター保有患者であった. 道路歩行横断中に自動車にはねられ当院救急搬送となった. 全身の軟部組織挫滅が著明であり, 皮下血腫や筋肉内血腫を伴っていた. 左脛腓骨骨幹部開放性骨折と左膝関節脱臼, 右大腿骨骨幹部骨折を認め, 活動性の出血も伴っていた. 止血治療としてバイパス療法を行い, 創外固定と脱臼の整復, 直達牽引を行ったが, 術後1日目より左下腿にコンパートメント症候群を認めた. 出血のコントロールは困難であり, 術後6日目よりDICを併発, 術後8日目からは肺炎も併発し, 術後11日目に永眠された.