【目的】超高齢者の重症外傷における臨床的特徴および受傷後急性期の凝固線溶動態を明らかにすること. 【対象と方法】Japanese Observational Study for Coagulation and Thrombolysis in Early Trauma (J–OCTET) に登録された2012年1〜12月に入院した796例を対象とし, 超高齢群 (≧85歳) と非超高齢群 (<85歳) の2群において, 各種属性データおよび凝固線溶動態の指標を比較検討した. 【結果】抗凝固薬/抗血小板薬内服率は超高齢者群の方が有意に高率であった (6.9% vs 20.0%, p<0.01). また, 超高齢者の24時間以内死亡および院内死亡リスクのオッズ比はそれぞれ5.53, 4.83 (ともにp<0.001) であった. PT–INRは超高齢者で延長する傾向を認めたが, 有意差は認めなかった. 急性期DICスコアについては, 両群間で差を認めなかった. 【結語】超高齢者では, 抗凝固薬/抗血小板薬内服率が高く, また, 凝固異常に陥りやすい可能性がある. ISS 16以上の重症外傷では, 85歳以上の高齢であることは, 独立して予後不良を予測するものと考えられる.