日本外傷学会雑誌
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日本外傷学会将来計画委員会報告:J-OCTET
頭部単独外傷におけるトラネキサム酸の生命予後に対する効果の検証-傾向スコア解析による検討
植嶋 利文白石 淳久志本 成樹早川 峰司萩原 章嘉齋藤 大蔵佐々木 淳一小倉 裕司松岡 哲也森村 尚登石倉 宏恭武田 宗和金子 直之加藤 宏大友 康裕横田 裕行坂本 照夫田中 裕工藤 大介金村 剛宗渋沢 崇行萩原 靖古郡 慎太郎仲村 佳彦前川 邦彦村田 希吉真山 剛矢口 有乃金 史英高須 修西山 和孝村尾 佳則
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2016 年 30 巻 3 号 p. 405-411

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抄録

 目的 : 頭部単独外傷に対するトラネキサム酸 (以下TXA) の生命予後に対する効果を検討すること. 対象と方法 : 多重代入法を用いてJapanese Observational Study for Coagulation and Thrombolysis in Early Trauma (J–OCTET) Studyデータベースの欠測値を補完した101個のデータセットを作成した. 頭頸部AIS4以上の頭部外傷で他部位AIS1以下の230例を抽出した. 3時間以内のTXAの使用の有無を従属変数, 来院時に得られたデータを独立変数とした傾向スコアマッチングを行い, TXA使用群と非使用群間の生存期間を比較した. 結果 : TXA使用群において有意な生存期間の改善が認められた (P=0.033). サブグループ解析において, 初期D–dimer値40μg/ml以上の群においてTXA使用による生存改善が有意であった. 結語 : 頭部単独外傷において, 3時間以内のTXA投与は有意な生存期間の改善を期待できる. 最も効果が高いのは線溶亢進が生じている群と推察された.

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© 2016 一般社団法人 日本外傷学会
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