日本外傷学会雑誌
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日本外傷学会将来計画委員会報告:J-OCTET
外傷患者の病院死亡に関連する受傷24時間後のヘモグロビン, 血小板, フィブリノゲンのカットオフ値の同定
前川 邦彦早川 峰司久志本 成樹萩原 章嘉齋藤 大蔵佐々木 淳一小倉 裕司松岡 哲也植嶋 利文森村 尚登石倉 宏恭武田 宗和金子 直之加藤 宏大友 康裕横田 裕行坂本 照夫田中 裕白石 淳工藤 大介金村 剛宗渋沢 崇行萩原 靖古郡 慎太郎仲村 佳彦村田 希吉真山 剛矢口 有乃金 史英高須 修西山 和孝
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2016 年 30 巻 3 号 p. 412-418

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抄録

 目的 : 外傷患者の死亡率低下のための急性期における輸血目標は明らかではない. 至適輸血目標レベルを明らかにするために, 重症外傷患者の受傷24時間後のヘモグロビン (Hb), 血小板数 (Plt), フィブリノゲン (Fbg) 値と病院死亡との関係を検討した. 方法 : J–OCTETデータベースから受傷24時間以上生存した外傷患者を抽出し, 病院死亡を予測する24時間後のHb, Plt, Fbgのカットオフ値をロジスティック回帰分析で同定し, ブートストラップ法で内部検証を行った. 結果 : 対象患者722例, 年齢57才 (中央値), ISS 22 (中央値), 病院死亡率は6.5%であった. 病院死亡を予測する最適なモデルは, Hb<10.0g/dL (c統計量0.77, 95%信頼区間0.69–0.85), Plt<10.0×104/μL (0.80, 0.72–0.87), Fbg<200mg/dL (0.82, 0.72–0.92) であった. ブートストラップ法で調整されたc統計量との差はそれぞれ0.03, 0.03, 0.01であった. 結論 : 24時間以内の急性期死亡例を除く重症外傷患者では, 受傷24時間後のHb<10.0g/dL, Plt<10.0×104/μL, Fbg<200mg/dLは病院死亡と関連した.

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© 2016 一般社団法人 日本外傷学会
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