2016 年 30 巻 3 号 p. 412-418
目的 : 外傷患者の死亡率低下のための急性期における輸血目標は明らかではない. 至適輸血目標レベルを明らかにするために, 重症外傷患者の受傷24時間後のヘモグロビン (Hb), 血小板数 (Plt), フィブリノゲン (Fbg) 値と病院死亡との関係を検討した. 方法 : J–OCTETデータベースから受傷24時間以上生存した外傷患者を抽出し, 病院死亡を予測する24時間後のHb, Plt, Fbgのカットオフ値をロジスティック回帰分析で同定し, ブートストラップ法で内部検証を行った. 結果 : 対象患者722例, 年齢57才 (中央値), ISS 22 (中央値), 病院死亡率は6.5%であった. 病院死亡を予測する最適なモデルは, Hb<10.0g/dL (c統計量0.77, 95%信頼区間0.69–0.85), Plt<10.0×104/μL (0.80, 0.72–0.87), Fbg<200mg/dL (0.82, 0.72–0.92) であった. ブートストラップ法で調整されたc統計量との差はそれぞれ0.03, 0.03, 0.01であった. 結論 : 24時間以内の急性期死亡例を除く重症外傷患者では, 受傷24時間後のHb<10.0g/dL, Plt<10.0×104/μL, Fbg<200mg/dLは病院死亡と関連した.