日本外傷学会雑誌
Online ISSN : 2188-0190
Print ISSN : 1340-6264
ISSN-L : 1340-6264
症例報告
外傷性両側腸骨筋血腫の一例
庄古 知久寺本 直弥千田 篤漆畑 直
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 31 巻 3 号 p. 387-390

詳細
抄録

 16歳の男性がバイク走行中にマンホールの蓋で滑り転倒し投げ出され, 救急車で搬送された. 全身に打撲痕はなく, 骨折もなかった. 造影CT検査にて両側の腸骨筋腫脹と造影剤の血管外漏出を認めた. バイタルサインは安定しており, 保存療法を選択した. 3日目に左下腿部のしびれを訴えたが翌日には消失した. 事故の状況から, バイク転倒時に両股関節が急激に過伸展し腸骨筋に血腫を生じたと推測された. 外傷による腸骨筋を含む腸腰筋血腫は, ショック症状がなく, 大腿神経麻痺の進行がなければ, 保存的な治療を行うことが妥当である.

著者関連情報
© 2017 一般社団法人 日本外傷学会
前の記事 次の記事
feedback
Top