行動分析学研究
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行動分析学におけるモデル研究の一事例――コピーイストモデル――
丹野 貴行
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2018 年 32 巻 2 号 p. 153-167

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抄録

コピーイストモデルは、強化率を等しくした変動比率スケジュールと変動時隔スケジュールの間の反応率の差(VR-VI反応率差)と、選択行動場面でのマッチング法則の両者を、“反応系列への分化強化”という見方により説明する。本解説論文では、コピーイストモデルの詳細なメカニズム、モデルのシミュレーションがもたらす予測、そしてその概念的示唆を、行動分析学におけるモデル研究の一事例として紹介する。分化強化という単純なモデル(単純性)が、VR-VI反応率差やマッチング法則のデータにいかに適合するか(正確性と一般性)を示す。このモデルの成功は、オペラント条件づけにおける微視的な時間枠と、反応形成の視点から強化を捉えるという2つの概念的示唆をもたらす。Skinner (1950) は『学習理論は必要か?』と題する論文を発表しているものの、こうしたモデル研究を決して否定してはいない。本稿では、コピーイストモデルのようなモデル研究は、行動分析学の発展に資するものであると結論する。

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© 2018 一般社団法人 日本行動分析学会
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