行動分析学研究
Online ISSN : 2424-2500
Print ISSN : 0913-8013
ISSN-L : 0913-8013
一般論文
動物介在活動をめざすオーナーハンドラーへのイヌのコントロールスキル訓練
山ノ上 ゆき子眞邉 一近
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 37 巻 1 号 p. 68-87

詳細
抄録

研究の目的 動物介在活動(AAA)において、イヌを適切に管理するスキルをオーナーハンドラーが習得すること目的とし、訓練方法の有効性を検討した。場面 練習場にAAAの行動リハーサル場面を用意した。参加者 飼いイヌとAAAへの参加を希望する女性ボランティア9名(40~50代)を対象とした。参加者とイヌのペアは、評価結果に基づいて2つのグループに分けた。グループ1はイヌの適正行動が不十分なペア(n=4)、グループ2はイヌの適正行動がある程度形成されているペア(n=5)である。研究計画 グループ1は行動間多層ベースライン法、グループ2は被験者間多層ベースライン法を用いた。独立変数の操作 行動リハーサルを実施し、標的行動に対するビデオモニタリングとフィードバックの介入を行った。行動の指標 グループ1はリードの扱い、イヌへの指示、「ほめ音声」など、グループ2は「ほめ音声」の適切な提示を測定した。「ほめ音声」の適切な提示は、信号検出理論のA’を指標とし、それ以外は生起率(生起インターバル数/該当する全インターバル数)を指標とした。結果 グループ1ではイヌへの指示・プロンプトなど、測定した5行動中、少なくとも4行動で有意な向上があった。グループ2では5ペア中4ペアのA’が有意に向上し、hit率は全員が向上した。結論 本研究で用いた訓練法は、AAAに参加するための個人スキルを向上させる訓練法として有効である可能性が示された。

著者関連情報
© 2022 一般社団法人 日本行動分析学会
前の記事 次の記事
feedback
Top