2023 年 49 巻 2 号 p. 53-62
本研究の目的は、自己開示する内容の深さを踏まえて、大学生の友人に対する自己開示と聞き手の受容的反応、抑うつの関連を明らかにすることであった。インターネット調査会社を利用し、大学生を対象に1カ月間にわたる2時点の縦断的な調査を行った。2時点ともに回答した350名のデータを用いて相関分析と階層的重回帰分析を行った結果、友人から受容的な反応を得られやすい人は自己の否定的な性格や能力に関する話といった深いレベルの自己開示を行いやすく、深いレベルの自己開示を行ったうえで聞き手から受容的反応を得られることで、抑うつの低下が生じることが示された。一方で、深いレベルの自己開示を行ったが聞き手から受容的な反応が得られない場合、抑うつが悪化してしまう危険性も示唆された。そのため、深いレベルの自己開示を促すとともに、相手から受容的な反応が得られるように、適切な自己開示を行うスキルを身につける必要性が明らかとなった。