認知行動療法研究
Online ISSN : 2433-9040
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展望
外来臨床における標的行動選定プロセスとその特徴の記述に向けた系統的レビュー
嶋 大樹井上 和哉本田 暉高橋 まどか
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2023 年 49 巻 2 号 p. 63-74

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抄録

本研究では、外来臨床での標的行動選定プロセスの整理および標的行動の位置づけにおける特徴の記述を目的とし、うつ病もしくはうつ状態にある者への行動的支援に関する文献をレビューした。国内外の複数のデータベースにて関連論文を検索し、11件の研究を採択した。そのうち10件で複数の標的行動に関する記述が認められ、7件で標的行動の継続測定に関する記述が認められた。各文献における選定プロセスは、その要素から1)プログラムに基づくもの、2)希望に基づくもの、3)価値に基づくもの、4)日常生活アセスメントに基づくものとして大別可能であった。また、標的行動の主たる位置づけは、1)当該標的行動の増加自体が目的となっているもの、2)なんらかの目的達成の手段であるものに分類可能であった。しかし、標的行動選定に至る臨床判断プロセスについての記述が全般に少ないため、事例報告における当該情報の充実化が提案された。

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© 2023 一般社団法人日本認知・行動療法学会
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