行動医学研究
Online ISSN : 2188-0085
Print ISSN : 1341-6790
ISSN-L : 1341-6790
原著
成人における運動に関する行動的スキルと運動行動の変容ステージの関連
武田 典子岡 浩一朗酒井 健介中村 好男
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 14 巻 1 号 p. 8-14

詳細
抄録

本研究では、身体活動・運動実施の規定要因としての行動的スキルの利用を評価するために、運動に関する行動的スキル(EBS)尺度を作成した。そして運動行動の変容ステージとの関連を検討した。EBS尺度の項目は、運動の行動的プロセスや身体活動・運動介入で用いられている行動変容技法を参考にして準備した。対象地区に居住する20歳以上の1,078名に対して質問紙調査を実施し、有効回答者647名を分析の対象とした。探索的因子分析の結果、 5項目からなる1因子構造の尺度が作成された。計量心理学的分析の結果、EBS尺度が高い信頼性と妥当性を有することが示された。次にEBS得点と運動行動の変容ステージとの関連を検討した。分散分析の結果、EBS得点と変容ステージの間には有意な関連が認められた。前熟考期に属する者は他の全てのステージに属する者と比較して得点が低く、実行期、維持期に属する者は、熟考期、準備期に属する者よりも得点が高かった。結果は、運動に関する行動的スキルの利用が個人の変容ステージに影響されることを示している。以上のことから、運動に関する行動的スキルは身体活動・運動習慣の定着を目的とした介入において有益な情報をもたらすと考えられる。

著者関連情報
© 2009 日本行動医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top