抄録
2007年4月にがん対策基本法が施行され、治療の初期段階からの緩和ケアの実施が推奨されている。加えて、緩和ケアに関する大学の卒前教育の充実に努めるとともに、医師を対象とした普及啓発を行い、 緩和ケアの研修を推進すべく、教育・研修体制の拡充に努めるべきとされている。これを受け、医学部の卒前教育の動きは徐々にではあるが拡大している。東邦大学医学部においても、チーム医療、緩和ケアチーム、緩和ケア、サイコオンコロジーの講義が行われている。しかし、緩和ケアに関する講義内容は多様で、それぞれの教員の方針に任されている現状にある。加えて、講義形式の検討や教員同士の連携など、システマティックな取り組みが必要と考えられる。今回、筆者は4年生を対象とした緩和ケアチームの講義に際して学生にアンケートを行った。その結果、緩和ケアに興味がある学生は全体の60%を超えるものの、実態が良く分からないといった回答も多く見られた。今後はこれらの意見も参考にしながら授業内容やカリキュラムを整えていく必要がある。