文化人類学
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特集 インフラを見る、インフラとして見る
インフラストラクチャー/バウンダリーオブジェクトにおける象徴的価値の問題
インドネシアにおける廃棄物堆肥化技術をめぐって
吉田 航太
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2018 年 83 巻 3 号 p. 385-403

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抄録

本論文は、インドネシア東ジャワ州スラバヤ市で日本人技術者が開発した廃棄物堆肥化技術の事例を通じて、インフラ/バウンダリーオブジェクトというテクノロジーの二つのモードの差異を明らかにするものである。スーザン・L・スターのインフラストラクチャーの議論はバウンダリーオブジェクト論と連続性があり、前者は後者の発展型とされる。しかし、両者の間には解釈の対象としての象徴と、実践の対象としての道具という断絶が存在しており、インドネシアでの開発事業で 新たに誕生した生ゴミ堆肥化技術の事例の分析からこのことを明らかにする。スハルト政権崩壊後に発生した埋立処分場の反対運動をきっかけに、スラバヤ市は深刻なゴミ問題に悩まされた。これに取り組む開発プロジェクトが開始され、日本人技術者が開発したコンポスト手法がひとつのテクノロジーとして結実するに至った。このテクノロジーはスムーズに開発に成功したが、その後のインフラ化で困難に直面している。この事例から、スター的な協働のネットワークが長期の時間性に耐えなければならないという問題を抱えていること、テクノロジーが確固とした象徴的価値を獲得しなければならないことを議論する。

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2018 日本文化人類学会
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