一帯一路構想は,初期の頃の新興国・途上国にインフラ整備のために巨額の資金を貸し付け,国内における余剰資源のはけ口とする,というものから,地球環境へのコミットメントやイノベーションの支援といったよりソフト重視で持続可能な対外経済協力策へと,その方向性を徐々に変化させてきた.一方で,中国の経済低迷を受け,国内の過剰な生産能力のはけ口として新しい一帯一路を位置づけていこうとする声も根強く存在する.本稿では,このような状況を踏まえ,これまでの一帯一路の歩みを,1.初期における旺盛な対外資本輸出拡大とその背景,2.初期の一帯一路が途上国・新興国にもたらした影響,3.新エネルギー産業の生産能力過剰問題解決のための新しい一帯一路(一帯一路2.0)の提起,という観点から整理したうえで,今後の一帯一路の行方について,中国が国内に抱える課題との関連を踏まえながら考えたい.