抄録
本論では,子どもの人と関わる力を育む保育者の専門性として保育者の協働性に着目した。具体的には,保育実践の内在的基盤である効力感の向上に繋がった,協働性に関わるエピソードを広く自由記述にて収集した。そして,これからの保育者に必要な支援の内実を主にSCAT により質的に分析した。その結果,1)協働性を基盤にした【心を支える支援】や【保育力の向上を支える支援】といった『個別的支援』と,協働的な保育の楽しさや集団の高まりを実感できるような『集団的支援』が共に必要であること,2)効力感を高めるための支援者側の意識としては,「個の尊重」「導き」「協働」を挙げることができ,個と集団とを生かし補い合える支援が必要であること,が明らかになった。最後に,「支援者との関係性」と「支援の認知」の視点から,今後の展開の可能性を述べた。