コミュニケーション障害学
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小児の音の誤りについて:臨床的特徴からみえてくるもの
今井 智子
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2014 年 31 巻 1 号 p. 36-42

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抄録
日常の臨床において,音の誤りをもつ子どもに対応する機会は多い。鼻咽腔閉鎖不全に起因する声門破裂音などのように原因が捉えやすい構音障害もあれば,いわゆる機能性構音障害と診断されるグループのように,背景となる要因が明らかでない場合もある。小児にみられる音の誤りには,構音実行レベルの誤りではなく,音韻体系の不完全さを反映しているものがあることも指摘されている。今回は音の誤りを多面的に捉えることを目的に,ラ行音を取り上げ,エレクトロパラトグラフィにより構音動態を観察し,さらに構音(音韻)発達過程と誤りの臨床的特徴を分析した。その結果,ラ行音では構音障害のない健常成人においても舌と口蓋の接触様式に多様性があり,また,獲得が遅く,臨床的にも多様な誤りが観察された。これらのラ行音の特徴について音声的側面,音韻的側面,構音器官の形態,舌運動能力,口蓋形態などの観点から考察した。
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© 2014 日本コミュニケーション障害学会
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