抄録
Melodic Intonation Therapy(MIT)は非流暢タイプの失語症者の発話流暢性向上のためにAlbert, Sparks, Helm(1973)によって開発された極めて有効な技法である。表出しようとする言葉のプロソディーに関わる音楽的要素(メロディー,リズム,ストレス)を利用して段階的に自然で流暢な発話を産生する技法である。本技法は世界中に広まり,各国語で使われている。そこで演者ら(関,杉下,1983)は,日本語の特質を考慮した形で原版の方法を踏襲したその日本語版(MIT-J)を開発した。しかし,効果を示す報告は多いものの,MIT-J の有効な臨床的報告はこれまで極めて少ない。その理由は本技法が文字によって説明されており,実習を伴わないので臨床家にとってマスターしにくいと感じられたと考えられる。そこで,本技法に関する実習つきのオンラインセミナー(一般用とコメディカル用)が企画され,現時点では大変好評である。今後も必要な人に本技法が届けられることが期待される。