2008 年 33 巻 6 号 p. 872-875
症例は56歳,男性。糖尿病加療中に胸部X線異常陰影を指摘された。胸部単純X線検査で左下縦隔に5×3cmの腫瘤陰影を認めた。胸部造影CT検査では,左傍胸椎領域(Th8-11)に造影効果を有する腫瘍を認めた。腫瘍内には石灰化,周辺には脂肪組織と思われる低濃度領域を認めた。画像所見より奇形腫または神経原性腫瘍を疑い,縦隔腫瘍摘出術を施行した。病理組織所見ではBリンパ球を主体とするリンパ濾胞がみられ,Castleman病(Hyaline vascular type)と診断した。石灰化を伴う縦隔のCastleman病は術前診断が困難とされており,文献的考察を加えて報告する。