抄録
当科では,進行食道癌に対する術前化学療法(NAC)として2001年よりFAP療法を,2009年からはDCF療法を行っている.本稿では,両者の安全性,有効性,完全切除率などを比較した.対象はcStage Ⅱ/Ⅲ(cT3)と診断し,NAC後手術を行った食道癌25例(FAP群15例,DCF群10例).対照は,NAC非施行で手術を行った66例(NACなし群)とした.
NACの奏効率は,FAP群よりDCF群で高かったが,両群の生存率に差はなく,NACなし群と比較しても差はなかった.有害事象は,DCF群は血液毒性の頻度は高かったが,忍容性は良好であった.また,NACがより大きな腫瘍に対する完全切除率を向上させる可能性が示された.
当科では現在,進行食道癌に対するNACとしてDCF療法を施行しているが,この結果が予後の改善に繋がるか,さらに症例数を増やして検討する必要があると考えている.