抄録
骨軟部肉腫の術前化学療法は,骨肉腫の患肢温存手術で用いる特注人工関節が完成までの待機期間に腫瘍が進行するのを防止する目的で1970年代に始まった.骨軟部肉腫における術前化学療法の目的は,遠隔微小転移に対して早期に治療を開始すること,原発腫瘍を縮小させることで腫瘍切除を容易にして患肢とその機能を温存すること,化学療法の効果判定を行うことである.化学療法に対する感受性が高い骨肉腫やEwing肉腫は術前化学療法の絶対適応である.悪性線維性組織球腫などの大多数の高悪性度非円形細胞肉腫は補助化学療法の有効性が証明されておらず,術前化学療法の相対適応である.骨軟部肉腫は補助化学療法の有効性に関するエビデンスが乏しいため,個々の患者における術前化学療法の有効性を判定して術後化学療法施行の適否を決定するという見地と患肢の良好な機能を温存するという見地から,補助化学療法を術前に行うことには意義がある.