抄録
症例は63歳女性,微熱と咳嗽を主訴に受診した.胸部単純CTを施行したところ,径16cmの巨大な腫瘍が,左横隔膜下に,膵尾部,脾臓に接して認められた.造影CT,MRIでは,辺縁と内部が不均一に濃染される腫瘍を認め,内部には脂肪成分と血管様構造,軟部組織濃度の構造を認めた.栄養血管は左肝動脈から分岐していた.以上より肝血管筋脂肪腫を疑い,手術を施行した.手術所見として,腫瘍は肝外側から連続するように存在していたが,他臓器浸潤は認めなかった.病理組織学的には,脂肪細胞,類上皮様から紡錘形細胞(平滑筋細胞)および血管からなる腫瘍で,脂肪細胞が優位であった.腫瘍細胞はHMB-45陽性であり肝血管筋脂肪腫と診断した.遠隔転移はないが,mitotic rateが2/10HPF,MIB-1indexが10%であったことより,malignant potentialを有した肝血管筋脂肪腫と考えられた.これまで肝血管筋脂肪腫は良性と考えられてきており,悪性肝血管筋脂肪腫の報告は極めて少ない.今回われわれはmalignant potentialを有した肝血管筋脂肪腫の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.