抄録
症例は85歳,男性.右上腹部痛,嘔吐を主訴に当院外来受診した.来院時,右季肋部を中心に強い圧痛と筋性防御を認め,Murphy徴候は陽性であった.腹部超音波検査では胆囊腫大と壁肥厚を認めたが,胆囊管の描出は困難であった.腹部造影CTでは胆囊の尾側偏位と腫大および胆囊頸部に渦巻き像を認めたため,胆囊捻転症による急性胆囊炎と診断し,同日開腹胆囊摘出術を施行した.胆囊は胆囊床との間に間膜を有さないGrossⅡ型の遊走胆囊で,胆囊底部と周囲の大網の間に索状の癒着を認め,この癒着部と胆囊頸部を軸に反時計回りに720度捻転を起こしていた.癒着部を切離し,捻転を解除し胆囊を摘出した.術後経過は良好で第13病日に退院となった.胆囊捻転症は比較的稀な疾患であり,今回われわれは癒着による720度捻転の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.